感謝に堪えない
「君かへす朝の舗石さくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ」・・・・白秋
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結婚してもうすぐ半世紀。人生の分水嶺「50歳」を境に共に下ってきたが、行きつく先が見当たらない。・・・・疲れたら休めばよいが、わき道に迷い彷徨いながら、とうとう72歳になってしまった。
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体力健康を考えると、若き日々の日常から大きく方向転換しなくてはならない。今日を必死に生きのび、明日をいかに生きるかが人生の課題と思うととても儚い。
いつまでも若くありたいとする感情が常に思惟して時間ばかりが過ぎ去る。ふと立ち止まっては昔を懐かしむ毎日だ。
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母親の寵愛を一身に集めることを知らないで育った少年時代。あこがれていた母親像に似た彼女を生涯の伴侶と決めてから半世紀の月日がたった。
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若き日から常に行動を共にしてきたが人生に山はなく谷ばかりだった。貧乏生活から脱しえぬ苦難の道を支えてくれた家内に拝謝の言葉しかない。
厳しい経済状況の中、娘は大学卒、息子は大学院卒まで教育に力を注ぎ、それぞれの人生の羅針盤を諭してくれ、力量のない私の心を支え、苦労ばかりで申し訳ないと思う。
偶然のめぐりあわせに感謝や万謝の気持ちで自分の歩んできた道は「迷いがなく確かな道」と思うのである。
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「人生のパートナー」とはこういうことなのだろうか。私は今更ながらより良き伴侶と共に人生を共有することの大切さを自分の老いてゆく心の断片として感じ取り、今一度人生を再度歩むとしても同じ道を選ぶことは確かだ。
若気の至りから発生した無軌道な軌道、貧困ではあるが今の幸せを呼んだことに感謝したい72歳の秋・・・・天高く碧空である。