眠れぬ夜
最近、感情の起伏が激しい。晴れたり曇ったり周章狼狽だ。昨夜は仕事の件で悩んで眠れなかった。自分でも解るほど感情が鬱に近い。
昔、心療内科医に「双極性障害」と言われたことがあった。やはり仕事の案件が障害を引き起こしているのが原因らしい。
こればかりは生活が懸かっているので避けることができない「病」と諦めてはいるが回避できるものがあるならば、そちらの方をを選択したい。
学生時代、受験勉強で眠れぬ夜がしばしあった。「遠くに夜汽車の汽笛を聞きながら」とか「遠くに犬の遠吠えが聞こえる」などと真夜中でも風情があったが、それとは違う虚無感が体調を狂わす。この歳になっても繰り返す「病」に「人生とは旅である」というような何か新鮮な日々はないものか?
「目の前のコップを見て「存在」を考える。そんな青春を過ごした人が、僕らの世代には少なくないだろう。喫茶店でコーヒーを飲み、飲み干せばあとはグラス。あのころはコップと言った。
中身は何もない空疎な水だけだが、そんなコップの感触を手のひらに感じながら、事物の存在に思いをめぐらす。
ときには、自分の前に同様のことを考える友がいて「このコップがここにあるってことは……」みたいな話になる。そんな青春が、少なくとも50年前にはあった。あの頃の「純粋」が戻ってこない。