関西の四季を呟く

関西の四季や出来事を写真を交えてお届けします。

黄昏の街・神戸


 神戸元町からほんの少し東寄りに位置する三宮。阪神大震災前の風情はほとんどないといってよいかもしれない。
 昔の面影のすべてが風化され、忘れ去られた街のようだ。


 日差しが六甲の山並みに傾き、薄ぼんやりと夕暮れの薄明かりが神戸を包み込む。黄昏の神戸は郷愁をおびた寂しい街のよう。

 活気に満ちたハーバーランド、メリケンパーク。食欲を誘う元町中華街。品位の高い北野異人館街。そのすべてが震災により立て替えられ新鮮ではあるが情に薄れた「白い町」というようようなイメージを映し出している。



 そんな昼間の神戸の街並みは日が暮れてネオンが少しずつともされる「火ともし頃」、瞼に深い哀愁がこもり、幻想な街へと変化する。


 厳しい現実に晒された人の群れは薄暗い街に迷い込み、震災で目に見えない傷を心に残したあらゆる悲しみを、捨ててしまいたくなるような、切ない大人の街に変貌する。



 日頃の不安,焦燥を忘却するために立ち寄る満席な居酒屋に笑顔はない。大げさかもしれないが、私はここに現実と理想の差異を感じてしまった。

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