ジャズ喫茶店の定義
店の前に近づくとわずかばかりの漏れる音源に吸い寄せられるように扉を開けてしまう。
フラットでクリアな感じの高音、低音は締まってどっしりと聴かす高価な音響機器を目の当たりにした時から気分はすでに「マイルスデビス」。
そうした時代が昔はあった。東京在住の頃、アナログ・レコードでジャズを聴かせている店「マイルストーンin 高田馬場」、「いーぐる in 四谷」、「マイルス in 明大前」は常連であった。
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特別な空間の壁にはLP盤がぎっしり並んでいた。演奏中のレコードのジャケットは常にだれもが見える高さに掲げられ、それを横目でちらちらと眺めては今掛かっている曲の盤名やタイトルを記憶した。
時には友人とおしゃべりしては周囲の客や店主から「静かに!」と注意されたり、コーヒー一杯で何時間も粘るなど、決して飽きの来ない空間であった。
そこにはジャズの定義と原点があったのだが時代の流れだろうか、今は数少ない昭和の死語になりつつあり残念である。