関西の四季を呟く

関西の四季や出来事を写真を交えてお届けします。

秋雨で肌寒い

 
 朝から雨。美しさを競い合う紅を儚くも散らせながら、降ったりやんだりと、間歇的に小止みになったと思えば、強く木々にたたきつける。
 秋の情緒を台無しにするかのように、そして人々の期待を裏切るかのように参道に舞い散る落ち葉はやがてくる厳冬にかき消され、忘れ去られる。
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 しかしながら無情な雨も昼から夕方に差し掛かる頃には、糸の切れたようにふっと止んだ。
 水滴が落ち葉の紅にきらきらと反射し幻想的に投影される。万華鏡を見ているようだ。期待以上に錦上花を添える出来事であった。



 黄昏に浮かび上がる時空間は妖しく幽玄なる別世界、そして漆黒に艶めく紅葉の麗しき絶美に息を呑む美しさは言葉にできない。


 空は薄く鉛色に地を這うようであったが、雨の降る気配はもうない。



 充実した時間もあっという間。家路に向かう晩秋の路面は、時折通る車のライトで濡れ輝き、雨の匂いを残したままの参道は普段の夕暮れとはまた違った妙に艶のある表情を浮かべ「紅葉のシーズンはこれからが本番だよ」と囁く。・・・・日本人にしか理解できない「わび」「さび」を思う存分習得した一日であり、人の世の儚なさは無常ではあるが、美しいと感じる美意識、そして悟りの概念に近い日本文化の中心思想と感じ取った瞬間であった。・・・・日本人であることを誇りに思いたい。


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おく山に 紅葉ふみわけ 鳴く鹿の こゑきくときぞ 秋はかなしき・・・古今集


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