ムラゴン ホーム
散髪屋の椅子に座ると自身の人生の変遷を真正面から見ることとなる。この椅子に座っている自分と鏡に映っている自分とは、確かに人格が違うと感じても不思議でない。二人の自分がいるではないか？・・・・免許証の写真よりも人相が悪いが、確かに分身である「笑」。
鏡の自分が椅子の自分を威嚇する。２０代から何ら変わらない同じ散髪屋の同じ椅子。自身の真理をさらけ出しているようでまともに見ることができないときもある。
高齢への失望ともう一方では、歳を取ったおかげで社会的責任の回避や放棄とが交差するようで、大げさに言えば、無重力の空間に浮遊しているようにも感じる。髭を剃ってもらう感触がとても良く、眠気を誘う異次元の世界。
そして、いつまでも若くありたいとする遵法責務論とが反発して自問自答の世界から脱しえない。 白髪交じりの髪の毛にハサミを入れるたびに「ダサい男」から「紳士的な男」に変貌を期待するが、もう一人の自分を見て肌に艶がなくなんだか恥ずかしい失望的な気分でもある。
散髪屋に来るとそんな瞑想な世界を思う存分体験する。
散髪を終え、髭を剃ってもらった鏡の向こうにはまったく違う自分になってしまったような錯覚に陥るではないか。
そんな空想心を抱ながらなんとなく終了。少しは紳士になれたかな「笑！！。
