よく似た現象
「異邦人」で有名なフランスの哲学者アルベート・カミュの「ペスト」を再読してみると新型コロナウィルス拡大の現在において重複する面が多々あることに気が付く。
ペストという目に見えない恐怖、それに翻弄されるひとびとの心理や変化、人間性の「不条理な世界観」はいまだに輝きが衰えることがない。むしろ2020年に警鐘を鳴らしているのかもしれない。
この作品はアルジェリアの要港で起きる物語だ。平凡な街に変化が訪れるのは、ある医師が死んだ鼠に気づくところからはじまる。
ここで、官僚たちの、初期段階での反応が興味深い。
死者の数は増える一方で、最初は楽観的だった市当局も対応に追われるようになる。
やがて町は外部と完全に遮断される。脱出不可能の状況で、市民の精神状態も困憊してゆく。
独断、そして偏見で申せば!
日本政府の「国民への対応」はペストよりも酷いな。