無言の空間
たたみ半分ほどの四角い箱に閉じ込められた瞬間、目のやり場がない。しかも若いご婦人。目は合うが、かわす言葉もなければその場の空気が異様に感じる。私はなるべく背を向けて小さな箱の隅に立つ。
瞬時に代わる次元、脳の誤作動、脳の錯覚、「デジャヴ」の世界に遭遇したようだ。
暗黙の了解とは?コミュニケーションとは?何だろうか。互いの意思を疎通するにはあまりにも急変すぎる。
前触れがないのである。あらゆる孤独が集中する一瞬ではないか。
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エレベーターに乗ると人は皆、無口になる。パーソナルスペースが侵されるのだろうか?
「いつ、この空間から逃げられるのか・・・口を塞ぎ、目を塞ぎ、耳を塞ぎ。のがれよ自身の孤独の中へ。強壮な風の吹くところへ」
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数か月前、この箱の中で恐喝事件があった・・・・・「怒」
我が家に・・・避けては通れぬ箱である。