夢枕
時々夢見る親父の叫び。「元気かい」「生活はうまくいっているかい」。あまりにもしつこいから思わず「うるせ~な~」と怒鳴ってしまったら、家内がびっくり飛び起きて「こんな夜中に大きな声を出して何を怒って言っているのよ」。
夢と現実との境界線がわからないことがしばしある。
たまに、枕もとで親父が酒を飲みながらグダグダ話しかけてくる。
たいていは夜中の2時~3時でトイレのため、目を覚ますと夢は収まるが何が言いたいのか良くわからないが不思議。
「暗示」とか「警告」のようだと理解したいが夢から覚めてしまうと記憶が薄れて次第に忘れてしまったりもする。
大きな声を出しているときははっきり覚えていて夢の世界が現実のようだ。
父子家庭で育った私は,高圧的な親父にはやや反抗的であり、少しばかりの距離を置いていたが、脱線した親子関係をコントロールするには「母」の存在が重要だと小学校後半から中学校全般にわたる反抗期に、親父に幾度か再婚話をもちかけるが二度目となる再婚は果たせぬまま生涯を閉じた。
19歳の年末だった。享年45歳。東京警察病院で司法解剖。発行された死体検案書を役所に出した。
放蕩で親不孝者だったので夜中に不服を漏らしてくるのだろう。私もそろそろ身支度を整えて、親父のもとに行く準備をしなくてはなるまい。