関西の四季を呟く

関西の四季や出来事を写真を交えてお届けします。

西瓜


 最近は西瓜を丸ごと一つ買う機会がなくなった。値段は高いし、子供たちは独立して、食べ尽くす家族もいなくなったせいでもある。老夫婦二人では到底手におえない量だ。


 今ではスーパーでカットフルーツを食する量だけを買っては昔の記憶を手繰り寄せては家内と「あの時は!!・・・」なんての話題になる。




 私が30代のころだった。電話ボックスから、「今から西瓜を買って帰る」と連絡を入れ家内、息子、娘らが額に汗を滲ませて私の帰りを今か今かと待ちわびていたようだ。
 仕事をいち早く終了し、なじみの八百屋さんに立ち寄った。普通は八百屋の店主にどれが甘いのかを訪ねては店主任せに買ったものだが、私が西瓜の頭を「ぽんぽん」と叩くと、重めの音だが済んだ高い音がするのを店主がその音を聞いて、「間違いない。それは甘いぞ」と自信をもって言っていた記憶がある。




 重たい西瓜をぶらさげて玄関の引き戸を開ける。そこで待ち構えた世界は現実を逸脱した「一大決心」の場であった。



  直径30センチはあろうか西瓜に家族4人の視線は全神経を集中して向けられていた・・笑。


 丸ごと🍉はどんな中身だろうかと空想し、包丁を入れる瞬間の魅力がたまらない。「丸ごと」は時間を凍結する働きは当然だが、それだけではない。空間をも操り時間という尺度を完全に分断する「物体」ではないか・・笑。



 空腹感と緊張感をもって🍉を割った瞬間、何か特別新しいものを発見したかの如く、何か得をしたかのように覗き込む。新鮮な空想ばかりが湧いてくる。・汗・・・童心に帰ったようだ・・笑。

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